狂人日記

映画のある日常    【注意】映画のストーリー・結末などのネタバレを大量に含みます

JUNO/ジュノ



よくも悪くも日本とアメリカの違いを感じさせてくれる作品である。もしJUNOが日本の16歳の高校生だったら、と考えるとおおよそそこから生まれる物語の雰囲気は察しが付く。世間体を気にしながら頭ごなしに中絶を命令する両親、暗く閉じこもる妊娠した本人、好奇と偏見の目を隠さない周囲の人間といったところだろうか。しかしこのアメリカのJUNOの物語はそんなものとは全く違う。

ひと言で言ってしまえば、まずJUNOが恐ろしくポジティブであるという点だ。妊娠という一大事をもちろん一大事として認識はしつつも他の我が身に起こるトラブルと同等に対処方法を考えようとする。自分で考える、というところがポイントである。そしてJUNOがまず出した結論はやはり中絶だった。そこには生命の尊厳や重みは存在しないのか。いや違う。彼女は「胎児にも爪がある」という同級生のひと言で自分の体内の「生命」あるいは「個」をはっきりと認識し、養子縁組を考えるようになるではないか。もちろんその養父母を探す作業も、養父母にふさわしい人物かの判断も父親の助けを借りたりはするものの基本的には全部自分で行うのである。

そしてある意味一番驚いたことは、妊娠したJUNOが日ごとにお腹が大きくなっていくのもものとせず、そのまま自分が通っていた高校に通い続けるという点である。これはいくら何でも日本ではあり得ないだろうし、いくらアメリカといってもそうそう普通のことではないだろう。そこがこの作品、あるいはJUNOという女の子の凄いところだ。

結局、完璧な夫婦に見えた養父母候補にも問題があり紆余屈折があるが、赤ちゃんの誕生は待ってくれない。しかしJUNOの決断は・・・というところで最後にもやはりJUNO自身の決断が物語にきっちりケリをつけている。要は、JUNOの妊娠がわかった時、義母が言った「現実はあなたが思うほど簡単じゃない」という言葉の通り、難しい現実を少女が学び成長していく物語として強烈かつ斬新な印象を受けた。ここまで「個」が尊重され自由を与えられているアメリカという国に羨望を感じると同時に脅威も覚えるのだが、まあ最初書いた通りよくも悪くも日本とアメリカは違う、ということなのだろう。

JUNOを演じたエレン・ペイジは当然「ハード キャンディ」から注目しているが、今後に期待、というよりは全く末恐ろしいものを感じさせる女優である。

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