インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国

元来このシリーズは、正統的な歴史に関するアイテムというよりは、聖書にまつわる外伝的なアイテムや古代の邪教に関係したアイテムなど結構オカルト趣味寄りに作られていたので、今回は異星人、というよりは異次元生命体というニュアンスだが、の頭蓋骨が最重要アイテムであり、最後にはUFOらしきものまで登場してまるっきりSF映画になってしまっていても大して驚きはしなかった。むしろジョージ・ルーカス/スティーヴン・スピルバーグの組み合わせでそういう要素が今まで盛り込まれなかったことの方が不思議なくらいだ。
一方で、前作から19年を経ての続編製作ということで、ハリソン・フォードも普通の人間同様歳を取ってしまったことがかなりのネックだったと思われるが、物語上の時代設定も20年ほど経ったことにして何とか上手く切り抜けている。前作が1930年代だったから、今回は1957年から始まるというわけである。必然的にこの頃の現実の時代背景を取り入れることとなり、米ソの冷戦状態を主軸として、それに関係するネバダでの核実験や、ロズウェル事件(発生は10年前だが)、ロックンロールなどの若者文化などを絡めて物語は進行する。で当然敵は戦時中のナチスから、冷戦中のアメリカにとっての敵であるソ連の将校たちに移行しているというわけだ。
今回の製作にあたってもっとも難航したのは脚本作りだったようで、何名もの有名な脚本家や監督が執筆を依頼され、書いては没になり解任、また別の脚本家が書いては・・・を繰り返していたような報道がかなり続いていた。しかし逆にそういった産みの苦しみを経たからこそ19年ぶりに続編を製作するだけの価値がある物語になったとも言えるだろう。
もちろんそれにはルーカス/スピルバーグの才能とシリーズへの愛がなければ実現しなかっただろう。しかも当代随一の娯楽アクションシリーズであるということと、観客を面白がらせるということでは人後に落ちないという自負が二人にあってこその結果である。まずシリーズの続編としては前3作の全ての要素をうまく引き継ぎ、ずっと観ているファンを思わずニヤリとさせる場面が満載であるということ、その最たるものが1作目のヒロイン、カレン・アレンの再登場と、インディも知らなかった息子の存在、そして落ち着くべきところに落ち着くハッピーエンドのラストであろう。
しかしそれにしてもさすがにこのシリーズの面白さは他のどんなアクション映画と比べても群を抜いている。少々大げさにいえば「次元が違う」と言っても差し支えないくらいだ。出演者が歳を取ったとはいえ、そこはスーパーヒーローだし、高度なスタントやCGの技術でカバーできるのが今時の映画である。そして、やはりアクションの基本は「追いかけっこ」であることを痛感させてくれるこれでもか、というくらいに続く各種チェイスシーン、そしてそれを撮るのがルーカス/スピルバーグとあればもはや文句のつけようがない。正直言って実際観るまでは果たして満足いく作品に仕上がっているのか不安もあったが、いざ観始めてみるとそういうことは全く考える暇もなかった。
ただ一つだけ問題点を指摘するならば、やはりネバダの核実験シーンだろう。そもそも実際にはそこで行われた核実験の9割が地下核実験だったのになぜあえて大気圏内核実験として描いたのかも疑問だし、いくら鉛製とはいえ普通の冷蔵庫が核シェルターの役割を果たし、原爆のキノコ雲を見上げる位置にいながらインディがほぼ無傷で放射能の後遺症もないというのは日本人にはどうしても笑えない。娯楽映画にお堅いことを言うなというのももっともだが、原爆に関する描写だけはどうあっても譲歩できない。もちろん俺がこんなブログでいくらそれを力説してもスピルバーグの耳には届かないから、ここは配給会社やちゃんとした評論家やマスコミがきちんと指摘してほしいところだ。
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